本日の講義は
「運動負荷試験」の実習でした。
運動負荷試験の様式には
単一段階(single-stage)負荷法と
多段階(multi-stage)負荷法があります。
単一段階負荷法は
単一の一定レベルの負荷を行います。
負荷様式が単純で
検査時間が短いので集団検診などに適していますが、個人間の定量性では多段階負荷に劣ります。
Master2階段はこの様式です。
多段階負荷法は
負荷を連続的に増加していく様式と、
一定の休止期を入れて間欠的に増加していく様式があります。
トレッドミル負荷や
自転車エルゴメーター負荷を用いた負荷試験の多くの方法が連続的負荷増加様式による多段階負荷法で行われます。
心疾患患者に運動負荷試験を施行する場合、負荷のかけ方は通常
Symptom-limited(症状限界性)法を用いることが多いです。Symptom-limited法は
狭心痛、
息切れ、
脚の疲れなどでそれ以上検査を続行すると危険があると判断して中止する方法です。
次に、運動負荷試験の種類についていくつか説明します。
まずはMaster2階段負荷試験。8インチの2階段を用い、年齢、性別、体重により定められた回数の往復運動を一定時間内(
single testは1.5分間、
double testは3分間)に行います。利点は、
装置や運動の形式が比較的簡単で、
短時間に施行でき対象が多人数の場合簡便であるということです。
欠点は、運動量の調節ができず心臓リハビリテーションを前提とした場合、運動量の指標を得難く、また頻回の方向転換のため運動器障害がある人などは円滑な運動が難しいなどが挙げられます。
続いてトレッドミル負荷試験。目的に応じベルトを水平にした
スピード負荷法、速度を一定にした
傾斜負荷法、両者を組み合わせた
スピード傾斜負荷法があります。
利点は
運動様式が歩行あるいは走行と自然な形態であり親しみやすく、また一定の速さで動くベルト上を強制的に移動させられるため
他動的に定常状態が得られ、かつ
再現性があるということです。
最後に自転車エルゴメーター。トレッドミル負荷試験と同様に
単一負荷法と
多段階漸増負荷法があります。
利点は、運動中の上半身の体動が少なく、
血圧測定、
血液検査、
呼気ガス分析などに適します。また装置が比較的小型なので場所をとりません。
欠点は、自転車に慣れていないと足の疲れがでやすいこと、自分の意志でスピードを合わせなければならず、
定常状態が得られにくいこと、などがあります。
これらいくつかの運動負荷試験の方法から、実際に試験を施行する患者に合った運動方法を選びます。そして運動中の血圧・心電図測定、呼気ガス分析を行うことで、患者の施行可能な
運動強度を調べ、今後の生活やリハビリテーションの参考にします。