本日の講義は
「立ち上がり動作」についてです。
椅子からの立ち上がり動作は、大きく2つの相に分けることができます。
重心を足部へ移動する屈曲相、
重心を上に持ち上げる伸展相があります。さらに屈曲相は、
頚・体幹を屈曲し重心を約1/2程度足部に移動する前傾相、
体幹を前に引き出すとともに膝が前に滑り出る前進相の2相に分けられます。
椅子から立ち上がる際には、
前傾相→前進相→伸展相の順で立ち上がっていきます。
椅子からうまく立ち上がれない場合、
前傾相と前進相が不足していることが原因と考えられます。
足部に重心が乗っていない状態で伸展相に入ると、後方に転倒し立ち上がれません。
立ち上がり動作を行う際にはいくつかのポイントがあります。
まず、
立ち上がる前に足部を後方に引くことです。
目安は、足部の内外果(くるぶし)が膝関節よりも後方にくる程度です。足部が後方にあることで、重心が足部に乗りやすくなります。
そして、
しっかりと前傾相をとることです。前傾相が少ないままで立ち上がろうとしてもうまく立ち上がることはできません。
しっかりと体幹を屈曲することで、重心が足部に乗るやすくなります。目安としては、こんにちはをするような感じです。
特に立ち上がり動作がうまくいかないのは、脳卒中片麻痺の患者さんに多いので、これら3つの相を十分に理解したうえで指導すれば、立ち上がりの自立につながります。立ち上がりが自立することで介助量を大幅に軽減することが可能です。