本日の講義は、先週に引き続き物理療法のなかの牽引療法から
「頚椎牽引」です。
頚椎牽引の目的は、
①頚椎の筋肉および関節構造の伸展
②椎間板隙と椎間板孔の拡大
③椎間板および周囲の軟部組織に対する求心的運動
④頚椎関節の可動化
⑤関節の刺激感受性の増加と変動
⑥正常姿勢による圧迫の軽減
⑦動脈血およびリンパ流の改善
などがあります。
牽引力は
体重の1/10程度です。
牽引時間は
持続牽引で最初は10分間とし、20分までを限度とします。間歇牽引は1分ごとに5~10回、1回の牽引時間は10~20分で通常3~4週間行います。
頚椎牽引の適応は、
変形性脊椎症、
椎間板ヘルニア、
頚肩腕症候群、
慢性肩凝り、
慢性頭痛、
むち打ち症などです。
牽引は軽い運動として使う場合は別として、
急性の捻挫(受傷後3~5日まで)など、
運動が好ましくないすべての症例に対して禁忌となります。特に
脊椎関節が不安定になっているような症例では、牽引が不安定状態や挫傷を悪化させる恐れがあります。他にも
悪性腫瘍、
骨疾患、
骨粗鬆症(高度なもの)、
骨ないし関節の炎症に関係するような深刻なケースも禁忌となります。